アリギリス日記

50代・一人暮らし派遣社員さんの ささやかな日常をつづる ゆるい日記です

猫の日に思うこと(かなり暗めのお話)

2022年2月22日、今日は「スーパー猫の日」だそうです。

あと200年待てば、2222年2月22日「スーパーウルトラ猫の日」なんだけどね。

 

猫といえば思い出すことがあります。(かなり暗めのお話です)

30年くらい前、まだ実家で暮らしていた頃、自宅の庭によく遊びに来る猫がいました。あだ名は「銀ちゃん」。ロシアンブルーの血が混じっているのかな?チャコールグレーの綺麗な猫でした。ご近所のある家でエサをもらっている半野良でしたが、ウチの庭は角地で陽当りが良かったので、銀ちゃんは毎日のように日向ぼっこに来ていました。

私の母は猫嫌いでしたが、銀ちゃんのことは可愛く思っていたようです。エサこそあげないけれど、追い出そうとはせず、芝生の上でどでーん!と寝転がっている銀ちゃんに「あんたウチの猫じゃないって分かってる~(^^;?」なんてよく話しかけていました。

 

けれどある日、銀ちゃんは死んじゃいました。

誰かの置いた毒エサを食べて。

 

その日道ばたで、よく見かける野良猫が口から泡を吹いて、のたうち回って苦しんでいた。明らかに様子がおかしい。何か毒物でも食べたに違いない。

 

銀ちゃんはどこ?無事でいるの??

 

銀ちゃんは見つかりました。ウチの裏庭で、冷たくなって。

 

母は泣いて、「きっと○○さん家の仕業に違いない!」と言いました。日頃からご近所に「猫に花壇を荒らされる」と怒っている奥さんがいたそうです。その人が毒エサをまいたという証拠は無いけれど、母はそう確信していたようです。

 

それが日曜日のことだったので、私はその週は落ち込んでしまって仕事も手に付かない状態でした。金曜日、少し気持ちも落ち着いて来たので、仲良くしていた同僚に話を聞いてもらいたくて、一緒に外へランチに行きました。私の話を一通り聞き終えて、彼女は言いました。

 

「それは猫に首輪付けて紐でつないでおかなかった、アナタが悪いのよ?」

 

えっ・・・?

確かに。確かにそうだけど・・・。

開口一番、それを言う!?

 

可愛がるだけ可愛がって、他所でその猫が何をしようと関知しない。確かに無責任だったと思う。

だけど、本当のことなら、誰にどんなタイミングで言っても良いってものじゃないと思う。

 

「確かにアナタの言う通りね。今日は聞いてくれてありがとう」

私はそう言って、話を終わらせました。

同僚は、得意満面、ニッコリと笑って応えました。

 

相手の気持ちに寄り添うこと無く、ド正論たたきつけて一本取って満足する。

これがアンタの本性なんだね。

死ぬまでそうしていれば良いと思うよ。

 

家に帰ると、母がまだグジグジと「○○さんを許せない!」とか言っていました。町内会で問題にして、責任を追及してやるとか何とか。

私は、もうやめときなよ・・・と言いました。

 

私たちにとって銀ちゃんは可愛い猫だったけれど、○○さんにしてみれば花壇を荒らすドラ猫だったんだよ。エサをあげていた家も庭で遊ばせていたウチも、自分たちの気持ちばかり優先して、被害に遭って悲しんでいる人のことを考えられなかった。確かにいきなり毒エサってのはひどすぎると思うけど、お互い無責任で自分勝手だった。銀ちゃんはそんな私たちの犠牲になったんだよ・・・。

 

オブラートでぐるぐる巻きにして伝えた、同僚が私に向かって放った辛らつな言葉。

母はそれきり、銀ちゃんのことは口にしなくなりました。

 

最近よく「地域猫」という言葉を聞きます。ボランティアが野良猫に避妊・去勢手術をして、また町中に戻し、エサを与えて見守る活動だそうです。メディアに取り上げられる時は、たいてい彼らボランティアは「いい人」として扱われます。

確かに、悪いとは言わないです。私も猫好きだから。

でもその「地域猫」の暮らす「地域」には、自分たちとは違う気持ちで暮らしている人もいるってこと、知っておいた方が良いと思う。

犠牲になるのは人間じゃなくて、猫たちだから。


ごめんね、銀ちゃん…。

 

最後まで読んで下さってありがとうございます。