何年くらい前でしたか、大きな会社の大きな社員食堂でのお話です。私はいつも一人で適当に空いている席で食べるのですが、その日、同じテーブルに正社員の女性二人が座りました。
当時私が働いていたビルに入っている部署は、ほとんどが企画・開発関係だったので、ここの食堂に来る方々は一般事務職を除けば、ほぼみなさん技術職(エンジニア)の方でした。理系のレベルの高い大学を卒業し、大きな会社に就職し、世の中があっと驚くような新しいモノをゼロから作り出している方々です。
彼女たち二人は部署は違うようですが、どうやら同期で、久しぶりに「ねえ、ちょっと聞いてよ!」みたいな感じで待ち合わせた様子です。
そのうちの一人の話したことを総合すると、こんな感じでした。
「今度の新規企画のメンバーに選ばれた。女性の輝ける社会とかナントカで、メンバーには必ず女性を入れるようにとのことだったらしい。今でさえプロジェクトのためにギリギリまで残業して管理部門から注意されているのに、これ以上仕事増やして一体私にどうしろって言うの??」
彼女たちが既婚か未婚かまでは分かりませんでしたが、年齢的にこれからの人生設計も考えたい時期で、仕事とプライベートの両立が難しくて悩んでいたようです。
その会社では男女区別なく、能力のある人は重要な仕事を任され、出世していきます。結婚して子供を産んでからも、産休・育休を経て職場復帰する方も多いです。キャリアアップのための支援制度も整っています。もちろんお給料も良い。世間から見れば、羨ましいくらいの環境ですよね。
けれどその分、仕事は過酷です。
ほんの一例ですが、以前、私があるプロジェクトの会議設定を担当していた時のこと。メンバー全員が空いている時間が夜の8:30からしか無く、仕方なくその時間にOutLookで会議設定しました。絶対に怒られると思っていましたが、何と全員から普通に「Accepted」の返信が返って来たのです。もう「ひえぇ~(^^;)」ですよ。(会議終わるの、何時になるんだ!?)
当時の上司の話では、トラブルが多発した時は、1ヶ月くらい一度も家に帰れないこともあったそうです。本当に「仕事と家庭とどっちが大事なの!?」と奥さんに言われたとか。
食堂で、彼女たちの話を横で聞いていて、思いました。
自分にとって今じゃないっていう時に、無理矢理「輝け!」って言われるのも、しんどいよねぇ・・・。
喋りまくっていた彼女たちは、後から来たにもかかわらず私より先に食べ終わり、食堂を出て行きました。
非正規も大変だけど、正社員さんも大変なんだよね・・・。
派遣の私はゆっくり日替わり丼を食べ終えて、「ごちそうさま」と彼女たちへの「お疲れ様」の気持ちを込めて、静かに合掌しましたとさ。
読んで下さってありがとうございます。