アリギリス日記

50代・一人暮らし派遣社員さんの ささやかな日常をつづる ゆるい日記です

毒親語り ③その名はキエコ

※自分自身の気持ちの整理のために書いている、毒親にまつわるエピソードです。

 苦手な方はスルーして下さい。

 

母の名は、キエコといいます。

どういう字だったかは忘れました。

さすがに本名の方は覚えていますよ(^^;。

キエコというのは母が50何歳かの時に、どこかの占い師に付けてもらった名前です。

 

その当時、これまでも書いてきましたが、父は脊椎損傷で下半身不随となり、自宅で母の介護を受ける生活でした。

2歳上の姉は20代半ばで一度結婚していますが、2ヶ月ちょっとで出戻り、以後は実家から2駅離れた町で一人暮らし。

私はと言えば、両親には全く理解できない趣味(飛行機の写真など)に没頭する毎日・・・。

両親は「女の子は結婚して家庭に入るもの」「そうさせるのが親の役目」という考えしか持ち得ない人種で、早く私を嫁がせて、その後で姉の再婚相手を探したいと焦っていました。

 

不幸なことに、そこへ母の更年期が重なりました。

 

常日頃から、思い通りにならない小さな事で爆発しては、「暑い!暑い!もうイヤ、全部アンタのせいだわ!」と、私のせいにする母。

いや、それはホットフラッシュという更年期の症状で・・・などと説明しようものならまた「アンタは理屈っぽい!性格が悪い!」と来るのが分かっているので、「はいはいそーですか」と受け流す私。

 

ある日、母は私をまともに指さして言いました。

「アンタの名前、お父さんやお母さんやお姉ちゃんの名前と、すごく相性が悪いんだって!3人は『土』で、アンタだけ『火』なんだって!」

 

どうやらお友達の紹介か何かで、占い師さんのところへ行ったようです。

 

「アンタの名前がこの家族を不幸にしてるの!お父さんがあんな体になったのも、お姉ちゃんが離婚したのも、全部アンタのこの名前が悪いの!この家の不幸は全部全部アンタのせいなの!」

 

(そんな名前付けてくれて、ありがとう(・・))

 

我ながら素直な心の声(^^;

でもこれを口にしたら、おそらく母は憤死する・・・。

 

「じゃあ私、名前変えようか?占い師に見てもらったんでしょ?家族が幸せになれるような名前、考えてもらえば良いんじゃない(^^)?」

 

母としては私が何か感情的な態度で反発してくるだろと思っていたのでしょうが、私があまりにアッサリそう言ったので、期待外れだったようです。

 

「いいの!アンタは名前を変えなくてもいいの。お母さんが変えるから!」

 

そう来たか。

 

「お母さんが名前を変えるからいいの!お母さんが犠牲になって、この家を守るの!」

 

「犠牲」とな。

そう言う母の顔は、すごく充実感にあふれて楽しそう。

要するに、なんだね(・・)?

 

それから母は、どこかの占い師に「キエコ」という名前(漢字忘れました~)をつけてもらって、名刺を作ったり、お店のメンバーズカードを作ったり、その名前でお友達に手紙を書いたりしていました。

 

が!

2年くらいで飽きたようです(^^;

 

それからは平然と元の本名で生活し、私も面倒なのであえてツッコミは入れませんでした。

 

それから月日は流れて、姉は再婚し、父は入所した介護施設の不手際で誤嚥性肺炎を起こして亡くなり、それから姉は結婚13年で2度目の離婚をしました。

 

これは誰の名前のせいなんだろうなぁ・・・と、たまに思います。

母も人の心があるのか、それともすっかり忘れているのか、「やっぱりアンタの名前のせい!」とは言ってきません。

母の中では「終わったこと」なんだと思います。

でも、私だって全く傷つかなかったワケじゃないです。

もし母が、また名前のことを話題にしたら、言ってしまいそうな自分が怖いです。

 

「お父さんがあんな死に方したのも、お姉ちゃんが捨てられたのも、全部お母さんがおもしろ半分に家族の運命を引っかき回したせいだからね!」

 

さすがに人として、これを言ってはイカンよなぁ・・・。

 

ちなみにこの名前にまつわる話、昔、知人に話したところ・・・。

「たこちゃん、そんな親の下で育って、よくグレもせず刃傷沙汰も起こさず、まともに生きて来られたねぇ!そんな親からはさっさと離れな!老後の介護なんかしなくていいから!」

だそうです。

 

私もそう思います。

 

読んで下さってありがとうございます。