派遣先の大手企業さんでは障害者雇用促進法への対応として、専門の子会社を作って障害者を雇用しています。軽度の障害のある人たちが、主に社内郵便を仕分けたり配達したりする作業を請け負っています。
けれどここ数年で情報のデジタル化が一気に進み、社内は加速度的にペーパーレス化されました。決裁書類などは全て電子データ、社内報なども紙配布を希望する人以外、ほとんどがWeb上で閲覧。そのおかげで紙の量は減り、コピー機のトナーの使用量も減り、会社は大きな経費節減に成功しました。
けれど、そのおかげで社内郵便の量は半分以下になり、障害者さんたちの仕事が無くなってしまいました。普通の下請け会社なら「人数を半分に減らせ!」と言うところですが、親会社の障害者雇用義務分を全て引き受けている子会社です、そんなわけにはいきません。
そこで、どうしたか?
これまで古い書類を捨てる時は、クリップやホチキス、付箋など、全て分別するように厳しく言われていたのが、こう変わりました。
「ファイルごと捨てていいよ。向こうで分別してくれるから」
お仕事を、作ってあげました。
大手企業になると、仕事を委託されている別会社が、社内に常駐していることはよくあります。警備員さんや社内コールセンター、事務代行スタッフなど、その種類は多岐にわたります。けれどどうやらここにも経費削減の波が押し寄せているようで・・・。
「今度、これまで取りに来ていただいていた物を、お席まで配達するサービスを始めようと思っているんです。いかがですか?」
「うーん、どうかなぁ」
「ぜひともご利用下さい!お願いします!」
彼らも生き残るため、仕事を獲得するのに必死です。
大企業が仕事を減らすのは、生き残るため。
請負業者が仕事を増やすのも、生き残るため。
本当に、厳しい世の中です・・・。
派遣社員も他人事ではありません。
「Word・Excel・PowerPoint使えます!来客・電話応対多めOKです!入金個別消し込み?バッチリ理解しています!マクロツール作れます!テプラ検定だって持ってます!」
「だからお願い、採用して下さい!」←心の叫び
※テプラ検定なんてありません(^^;
以前まで社員さんが交代でやっていた給湯室のお掃除も、障害者の子たちのお仕事になりました。週に2回程度、お掃除道具の入ったカゴを抱え、2人一組でやって来る彼ら彼女らは、こちらが「お疲れ様(^^)」と挨拶すると、「こんにちは!」と明るく返してくれます。
給湯室で女子社員が話すことと言えば上司の悪口と相場は決まっているけれど、あの子たちにとっては「私の大事な仕事場」なんだな。
今日も、癒された・・・。
読んで下さってありがとうございます。