アリギリス日記

50代・一人暮らし派遣社員さんの ささやかな日常をつづる ゆるい日記です

TVアニメ「平家物語」第4話で泣いた話

1月から放送されているTVアニメ「平家物語」。毎回録画して見ています。

何を隠そう、私は「平家物語」原文で通読するくらい大好き!アニメ化はこれが初って、そういえばドラマにはなったことあるけど、アニメは無かったですね。

 


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あの「最後は平家滅亡」と誰もが知ってるお話をどうやって見せて行くんだろう?と思っておりましたら、「未来が見える眼」を持つ少女“びわ”というオリジナルキャラクターを置いて、「ああ、この人たちはこの先、ああなって、こうなっちゃうのに・・・!」という気持ちを、視聴者と共有する手法を取っていました。なるほど上手いなぁと思います。

 

私は「平家物語」を軍記物として愛好しておりまして、合戦のシーンの描写とか大好物です。でも、TVアニメ「平家物語」は、どうやらその路線にはならない予感。だって「誰?それ」って言いたくなるような、平資盛の恋人、後の建礼門院右京太夫まで早々と登場してますから。人間ドラマがメインなのでしょうね。

 

ここからはめっちゃマニアックな話です(と、一応ことわっておく(^^;)

 

当地方では先週放送の第4話、平維盛が妻と幼い息子(六代御前)と遊ぶシーン。

思わずうるっと来ました(;_;)。

この家族がこの先どうなって行くのか、知ってますからね。

巻第七「維盛都落(これもりのみやこおち)」は、涙無くしては読めません゚(゚´Д`゚)゚。

 

※以下、古文がイヤな方は青文字の部分は飛ばして、私の意訳でお楽しみ下さい(^^; 

 

この北の方と申すは、故中御門新大納言成親卿の娘、父にも母にも遅れ給ひて、孤にておはせしかども、桃顔露に綻び、紅粉眼に媚びをなし、柳髪風に乱るる粧ひ、又人あるべしとも見え給わず。

 

維盛の奥さんは、美人さんでした。

 

戦況がヤバくなって、平家一門は都を捨てて西の方へ逃げることになります。維盛は妻に言います。

 

「われは日頃申ししやうに、一門に具せられて、西国の方へ落ち行くなり。何處までも具足し奉るべけれども、道にも敵待つなれば、心安く通らん事有り難し。たとひわれ討たれたりと聞き給ふとも、様など変え給ふは、ゆめゆめあるべからず。その故は、如何ならん人にも、見もし見えて、あの幼き者どもをも、育み給へ。情けをかくべき人も、などか無くて候べき。」

 

連れて行きたいけど、敵がいて危ない。私が殺されたと聞いても、絶対に出家などしないで。誰かいい人と再婚して子供たちを育てて下さい。良くしてくれる人がきっといるよ。

 

それを聞いて、奥さん、号泣です。

 

「都には父もなし、母もなし、捨てられ奉つて後、又誰にかは見ゆべきに、如何ならん人にも見えよなど承るこそ恨めしけれ。前世の契りありければ、人こそ憐れみ給ふとも、又人毎にしもや情をかくべき。何處までも伴ひ奉り、同じ野原の露とも消え、一つ底の水屑ともならんとこそ契りしに、さればさ夜の寝覚の睦言は、皆偽りなりにけり。せめては身一つならば如何せん。捨てられ奉る身の憂さを、思ひ知っても留りなん。幼き者どもをば、誰に見譲り、如何にせよとか思し召す。恨めしうも留め給ふものかな。」

 

両親もすでにいないし、あなたに捨てられたら他の人なんて考えられないのに、誰かいい人と再婚をなんてひどいわ。前世からの約束であなたは私と結婚したけど、誰だって私を愛してくれるとは限らないじゃない。どこまでも一緒にって約束はウソだったのね。私一人なら捨てられる悲しさも受け容れられるけど、子供たちを誰に託してどうせよと?置いていくなんてひどすぎるわ!

 

「誠に人は十三、われは十五より、見初め奉つたれば、火の中水の底へも、共に入り共に沈み、限りある別路までも、後れ先立たじとこそ思ひしか。今日はかく物憂き有様どもにて、軍の陣へ赴けば、具足し奉つて、行末も知らぬ旅の空にて、憂き目を見せ参らせんも、わが身ながらうたてかるべし。その上今度は用意も候はず、何處の浦にも心安う落ち着きたらば、それより迎ひに人をこそ参らせめ。」

 

本当にあなたが13,私が15の時から愛し合って、どこまでも共に、死ぬ時は一緒だと思っていた。だけどこんなことになって戦争に行く時に、あなたを一緒に連れて行って、この先どうなるか分からない心配をさせるなんて私はしたくないのだ。今回は準備も間に合っていないから、どこか安心できる場所に落ち着いたら迎えに人をよこすよ。

 

この後、子供たち登場。

 

中門の廊に出でて、鎧取って着、馬引寄せさせ、既に乗らんとし給へば、若君姫君走り出でて、父の鎧の袖、草摺取りつき、「これはされば、いづちへとて渡らせ給ひ候やらん。われも参らん、われも行かん」と慕ひ泣き給へば、憂き世のきづなと覚えて、三位中将、いとと爲ん方なげにぞ見えられける。

 

廊下に出て鎧を着て、馬を寄せさせて乗ろうとすれば、若君と姫君が走って出てきて、父親の鎧の袖や足元に取り付いて、「どこへ行っちゃうの?僕たちも一緒に行きたいよ!」と恋しがって泣くので、大切な家族との絆を思って、三位中将(平維盛)はどうしようも無くなってしまった様子であった。

 

これ私、電車の中で読んでてボロボロ泣きました(ノД`)・・・。

隣りのオッサンがビックリしてました(^^;。

 

平家物語」の最後って平家の滅亡、すなわち壇ノ浦の戦いのイメージがありますが、実はこの若君、六代御前が殺されるところなのです(灌頂巻を除く)。平家の嫡男であった維盛、その息子六代御前。鎌倉殿(源頼朝)はこれを生かしてはおかなかったのですね。

 

そんな平家滅亡の伏線を、第4話でやるか!?

制作陣、おそろしや・・・(-_- ;。

 

TVアニメ「平家物語」、ラストはどこに持って来るのかな?

壇ノ浦で終わるか、六代被斬(ろくだいきられ)で終わるか、灌頂巻で建礼門院徳子が亡くなるところまでやるか・・・。

まだ半分も行っていないのに、早くもラストシーンに気を揉むのもどうかと思いますけどね(^^;。

とにかく、次の放送を楽しみに待っている私でございます(^^)。

 

 

こんなマニアックな話、最後まで読んで下さってありがとうございます。