アリギリス日記

50代・一人暮らし派遣社員さんの ささやかな日常をつづる ゆるい日記です

左腕の分身

腕時計の電池交換に行ってきました。今度こそもうダメかも・・・と思いましたが、新しい電池を入れてもらったら、また元気に動いてくれました。

 

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高校の入学祝いに買ってもらった時計です。

50代半ばの私が15歳の時に買ったということは、もう40年選手ですね。

 

その日は家族でデパートに行き、私の時計と、他に家族の物を色々買う予定でした。

売り場でたくさんの時計を試着しましたが、学生向けの腕時計はどれも質実剛健というか、私のガリガリに痩せた腕には文字盤は大きすぎるしベルトは太すぎるし、似合うのが一つもありません。

だんだん悲しくなってきて、「もう時計いらない、帰ろう」とやさぐれかけた時、ふと目にとまったのがこの時計でした。小さめの文字盤、細い銀色のバンド。腕にはめてみると、大人サイズのバンドはぶかぶかではありましたが、パーツを2つ3つ外せば私の腕にもフィットしそうでした。

 

これがいい!これが欲しい!

 

私がそう言った時の両親の顔は、今でも忘れられません。

 

「31,000円(@_@;!?」

 

そう、入学祝いの腕時計としては、予算をはるかに超えていました。それもそのはず、その時計は大人の女性向けの「ドレスウォッチ」のケースの中にあったのです。

(40年前で3万円って、今なら一体いくらなんだろう?)

 

それきり固まってしまった両親。

ああ、ダメなんだ・・・。

じゃあ私に似合う時計なんて、この世に無いね・・・。

 

あからさまに落胆した私を見て、渋々両親は言いました。

「大事にする?ずっと使う?」

 

「本当に使う?約束する?」

 

そうしてこの時計は私の物になりました。その日、まだクレジットカードなど一般には普及していない時代でしたので、現金を使い果たした我々家族は、さっさとデパートを後にして家に帰ったということは、だいぶ後で知りました(^^;。

 

以来ずっと、この腕時計は私の左手首で時を刻んできました。

テスト中にいつの間にか竜頭が引かれて止まっていたり(きゃーっ(^^;)、途中から土砂降りの体育祭の日に広いグラウンドで迷子になったり・・・。いろんな事がありましたが、どれも大切な思い出です。

社会人になってからも、たまにファッションに合わせて別の時計を付けたりもしましたが、最終的にはこの時計に戻ってきました。左腕にはまっていないとどこか落ち着かない、すでに私の体の一部なのです。

 

電池の残量が少なくなると、秒針が2秒刻みで進むようになって知らせてくれる仕組みでしたが、今回は秒針は1秒刻みなのに時間だけが遅れていくという症状が出て、さすがにもうダメなのかと思いました。一時は最新の電波ソーラーを買ってしまおうかとお店にも行きましたが、40年も慣れ親しんだ、自分の分身であるこの時計以上の物がそう簡単に見つかるはずもありません。

 

動いてくれて、本当に良かった。

ありがとう・・・。

残りの人生、どうなるんだか想像もつかないけれど、行けるところまで一緒に行こう!

 

 

読んで下さってありがとうございます。