今週のお題「一気読みした漫画」。一気読み、と言うわけではありませんが・・・。
子供の頃に読んだりTVで見たりした作品に、大人になってからもう一度触れた時、「あの頃は理解できてなかったんだな」と気づくことがあります。
例えば、TVアニメの名作『アルプスの少女ハイジ』。
「ロッテンマイヤーさんは、ハイジをいじめる悪い人」
子供だった私は何の疑いも無くそう思っていました。ところが大人になってからよくよく考えてみると、あの時代、あの職業の人として、ロッテンマイヤーさんはいたって普通で、むしろハイジの方がぶっ飛んだ子だったと気づきます。途中でロッテンマイヤーさんはゼーゼマン氏からダメ出しをくらいますが、それでも大事なクララお嬢様のために、自分は動物苦手なのにスイスの山までついて行くという、まさに家庭教師の鑑のような人でした。
さて、そんな感じで、私が大人になってから初めて気づき、感動した作品がこちらです。
初出は「りぼん」昭和54年9月号。私が持っているこの選集は平成20年発行のものです。
主人公は小学生の女の子、ユリ。母親は夫のDVが原因で蒸発し、父親と二人暮らし。ふとしたことから軽度の知的障害がある近所のお姉さん、夏穂と知り合い、ユリは夏穂に母親の面影を重ねます。夏穂は両親を亡くしておばさんの家で暮らしており、家事などを手伝っていますが、ある時おばさんの決めてきた縁談でお嫁に行くことになって・・・。
読んだ当時、私はまだ小学生だったので、気持ちは主人公ユリちゃん寄りでした。このおばさんは夏穂に家事を全部やらせといて、挙げ句の果てに厄介者扱いして嫁にやっちゃうんだ。相手は二回りも年上で再婚なんて、とんでもない話(*`Д´*)・・・!
けど、大人になってからじっくり読むと、違ったんですよ。
おばさんは、自分にも子供がいて、家もそれほど裕福では無いのに、親戚中をたらい回しにされていた夏穂を引き取ってくれたんです。女性として最低限役に立つように、家事を仕込んでくれたんです。うんと年上の相手との縁談も、考えようによっては「経済力」「包容力」のある男性ということで、軽度とはいえ知的障害のある夏穂を安心して任せられる相手だったんです。
そして注目すべきは嫁入りシーン。なんと夏穂さん、文金高島田で嫁に出してもらってます!母親代わりのおばさんは黒留め袖、横に小さく描かれている実子の女の子にも着物を着せて、この日がこの家にとって「ハレの日」だということが伝わってきます。この後、夏穂は迎えに来た車に乗って出発して行きます。実の娘でも無いのにこれだけの支度をしてくれるなんて、おばさん、本当にいい人でした(ノД`)。
自分たちがいなくなった後、この子はどうやって生きて行くのか・・・。
子供の頃には分からなかった、「本当の愛情」でした。
もしかしたら他にもこんなふうに、新しい発見のある物語が、記憶の底に眠っているのかも知れません。
読んで下さってありがとうございます。